雪村 瑠依、18歳。 現在お付き合いしているのは5歳年上のお兄さん。 柊さんと恋人同士になってから、恥じらいという文字がわたしの辞書から木っ端微塵に吹っ飛んでいます。 幸せ真っ只中なわたしですが一つ悩みがありまして。 正直彼を目の前にすると… 「押し倒したくて胸の奥がこう…ムラムラして手が訳も無くいやらしい動きを…」 「いっぺん道場の的になってこい!この色ボケッ」 お昼休みの屋上で弁当をつつきながら瑠依がおもむろに垂れ流している妄想を聞くに堪えかねた美鈴は叫ぶ。 何が悲しゅうてのどかな休み時間に…しかも太陽がまだキラキラしている時間からこんないかがわしい話を聞かなければならないのか。 ああ、せっかく楽しみにとっておいた玉子焼きの味がわからない。 全部アホなことばかり言うコイツのせいだっ 早朝練習を終えて教室に入った途端にドタドタドタッという足音と共に扉が外れるんじゃないかと思うくらいの力で開けてやって来た瑠依が開口一番…。 「昨日ね、柊さんとキスしちゃった」 と言った時の彼女の頭に花が咲いている幻を見た。 「…幻じゃなくて本当に咲いていやがった…」 でなければ学校に来る前に何か変なものでも拾い食いしてきたに違いない。 その所為できっと頭が弱くなったのだと美鈴は心底嫌そうに目をすがめながら瑠依をどこか別の国から来た人を見るような目で見る。 「あんまりあの時の柊さんが色っぽかったから興奮して昨日の夜は色々考えて眠れなくなっちゃった…あーあ早朝練習のときに柊さん会えたかもしれないのになぁ」 何を色々考えて眠れなかったのか敢て聞く気にもなれない。 ズズズズッと不味そうな音を立てて美鈴はパックのジュースを飲み干す。 このなんでもかんでもテキトーで面倒くさがりでやる気の無い親友が、あのなんでもかんでも厳しくて容赦が無くてついでに優しさも無い柊さんと恋人同士…。 ちょっと前まではあんなに柊さんのことを避けていたのに。 昨日の部活の終わり際に瑠依が一緒に帰りたいと言ってきたのを無下に断ったが、一体その後このお馬鹿娘に何があったのか。 きっと柊さんがいつものように校門の前で待っていたのだろう。 そしてそれから瑠依は変態の国の門を叩いたに違いない。 このお馬鹿娘が恋愛に夢中になる日なんて来ない…少なくともあと数年は恋に真剣になることはないだろうと思っていたのに。 柊さんを好きになった瑠依の恋心は彼女自身を…。 (一番ウザい方向に変えやがった) 美鈴は内心で毒づきながら頭を抱えた。 朝から数えて瑠依の柊に対する脳内妄想ダダ漏れ状態を目の当たりにする度に美鈴のヤサグレ具合が増してゆく。 確かに早朝練習の際に柊は現れた、そして道場に瑠依の姿を探したがどこにもいないとわかると明らかに表情に影が差し、唇をきゅっとかみ締めていた。 現弓道部主将の楠木(三男坊)から腕に包帯が巻かれているのを問われた時に、切れ長の眦(まなじり)の辺りがぽっと染まるのを見た部員達からはどよめきが走る。 今日の柊さんは確実におかしいと誰もが思った。 朝練が終わってみたら柊以上に(頭が)おかしくなっていた娘に出会ったが。 「やっぱり好きですって告白して直ぐにディープキスは早かったかなぁ?でも昨日から柊さんのことで頭いっぱいで直ぐにでも押し倒して全部脱がした後に色々と舐めたり吸ったりしたいんだけどそんなこと言ったら流石に嫌われるよね?」 (いっそ別れちまえよ…。) 美鈴は真剣に今月の自分のお小遣いを全額投資してもいい勢いで思ったという。 放課後になって部活の時間になったが、美鈴はこれまでこれ程この時間を恨めしいと思ったことは無い。 瑠依はいつもの定位置で昨日までならなるべく視界に入れないようにしていた道場の入り口を疑視し、柊が入ってくるのを今か今かと待ち構えていた。 美鈴といえばその道場の入り口の扉に(まるで瑠依の視界の邪魔をするように)立ち、主将の楠木と話をしている。 「るいが朝から色ボケになってて困ってるのよ…好きになった男の人に告白した直前にキスした挙句昨日の夜は色々妄想して眠れなかったとのたまうし、今日は今日で押し倒したいだの抜かすし…」 「雪村が?昨日は付き合ってた男と別れて凄い落ち込んでたのに?」 二人で話をしていると道場の入り口に誰かが近づいてくる足音が美鈴の耳に届いたが、敢て彼女は話を続けた。 「今まで誰と付き合っても長続きした事がないのに」 「ん〜、まぁ確かに飽きっぽいけどなぁ雪村は」 扉の向こう側に立っている誰かが張り詰めた雰囲気を放つのがわかる。 「でも雪村って弓道だけはずっと好きじゃない?」 「弓を引く時の人は誰でも好きなのよ、あの子は。私でも楠木君でも柊さんでも」 向こう側の誰かが扉の取っ手に掛けていた指先でガリッと音を立てる。 勢い良く扉が引かれて開けられるのと、美鈴が「柊先輩は恋愛対象として見られないってあれ程言っていたのに」と言うのが同時だった。 現れた人物を目にして楠木が驚いた声を出す。 「ひ、いらぎ…さん」 二人の目の前に現れたのは今まで見た中できっと一番険しい表情をした柊だった。 「ひぃ〜らぎさぁぁぁぁんっ」 部員全員がその大声に振りかえる。誰あろう、瑠依だ。 視界に柊の姿が映った途端に元気良く立ち上がり、満面の笑みで真っ直ぐ彼のほうを見つめる。 しかし道場の入り口で立ち尽くしていた柊はくるりと踵を返すとそのままスタスタと歩き出してしまった。 「あ、あれっ?柊さん?…ひぃらぎさ〜〜〜ん???」 頭の上に?マークを無数に浮かべながら慌てて瑠依は柊が去っていた方へと駆けて行く。 道場を出て行った瑠依の遠ざかる足音を聞きながら美鈴はポツリと漏らした。 「でも…あの子があんな風に誰かを必死で追いかけるところなんて初めて見た」 以前なら…今まで付き合ってきた男の子相手になら…絶対に追いかけてなんて行かなかったのに。 口癖のようにメンドクサイって言っているはずだった。 どうでもいいやって道場の隅っこで丸くなっているのに。 「ほんとうに…柊さんが、好きになったのね」 柊の後を追いかけて瑠依は走る。 彼は畳の上を歩いている時と同じような流麗な足取りで足早に歩いていた。その後姿を瑠依はわき目も振らずに目指す。 しかし体力が余り無い彼女は一向にその距離を縮められない。 息が上がり、呼吸が苦しくなり、次第に足が重く感じられてとぼとぼと歩く程度になってしまった。 時折足を止めながらも瑠依は一生懸命に柊に近づこうとする。 (…ん?……あれ?) おかしなことに気がつく。 自分は休み休み歩いているはずなので柊はとっくに遠くへと行ってしまっていてもいいはずなのに彼の後姿は走って追いかけていた時とそう変わらない距離にあった。 (…あれ?…あれ?あれ?) よく見れば柊はチラチラとこちらを振り返りながら歩いている。 自分が苦しさに足を休めれば、彼も足を止め、自分が歩き出せば彼もまた足を進めてゆく。 歩き方は相変わらず美しいが、その速度は明らかに遅くなっていた。 (…もしかして) 「…柊さん、待って?」 呼び止めようとするが彼は歩く足を止めない。 「柊さん、こっち向いて?」 ピクリッと彼の肩が揺れるのが見えた。 「振り向いて?…それからまたあの時のように…」 キスしたいです。 “キス”の部分を強調して呼びかける瑠依の声に、柊の足が止まる。 けれど頑ななまでに振り向かない。 上機嫌な顔で瑠依は力を振り絞って、自分の足を励ましながら小走りに駆けて行く。 もう彼は逃げない。 「腕の怪我は大丈夫ですか?」 大事な宝物に触れるように瑠依が柊の手首から覗く包帯越しにその部分を撫でてゆく。 あれだけ砂利のある地面の上で瑠依をかばって怪我を負ったのだ、保健室で手当てした時も細かな石の粒が腕の肉に食い込んで無残な有様になっていた。 石を一つ一つ丁寧に取り除きながら瑠依は柊に「有難うございます」、「本当はずっと前から好きでした」、「柊さんが一番です」と何度も繰り返し伝えたのだった。 昨日の事を思い出しながら腕を何度も何度も撫でさすり、それから皮膚の硬くなった手の平や、節くれた指へと滑らせて絡めとる。 細くてふにっとした瑠依の指と、長くて骨ばった柊の指が合わさり、ぎゅっと握り合うと、ゆっくりとした動きで瑠依のほうから柊を引き寄せるようにして振り向かせた。 それでも顔を合わせたくないのか柊は横を向いて中々その表情を見せない。 「柊さん、こっち向いて?」 いつもは出さないような甘い声で瑠依が誘いをかけると、観念したように彼はそっと視線を向けたが相変わらず顔はなるべく見せないように横向きだ。 (そんなに隠そうとしなくても、耳が真っ赤だから照れてるってわかってるのになぁ) 「…スを…」 「…?」 「キスを、するんでしょ?」 目元をぽっと赤く染めながら、何かを堪えるように眉を寄せて柊が問う。 それはまるでキスを急かすように。 (…あ、なんか凄くいま押し倒したい…) 瑠依が思ったのはそんな腐った事だった。 じっとして動かないまま瑠依からのキスを待っている柊の顔に静かに自分の顔を近づけて、薄い唇に彼女の柔らかなそれが重なる。 ふわっとした感触を残して瑠依が離れてゆくと、柊の目が驚きに見開かれて、さっきまで触れ合っていた唇が一瞬震えた。そしてみるみるうちにその表情が怒っているような泣きたいようなものへと変わる。 「なんで?…昨日したようなキスは嫌だったの?」 どうして柊の機嫌を損ねたのかわからなくて瑠依はまた頭の上で?マークを連発させた。 (あれ?あれ?おかしいなぁ…昨日みたいなキスばっかりじゃやっぱり嫌われちゃうと思って我慢したのは私のほうなんですけど?) 「やっぱり弓道がいいの?…俺じゃなくて…瑠依が好きなのはやっぱり弓道なの?」 (あれ?あれ?あれ〜〜〜?どうしてそこで弓道が出てくるんだろ) 柊さん明らかに誤解してる。 「違うよ、柊さん」 即座に否定した瑠依に、柊が目を丸くした。 「わたしは弓道に対して胸の奥がぎゅ〜っと苦しくなったりとかしないし、むず痒くなるようなムラムラした気分になんかならないし、とにかくもう柊さんに対して色々脱がしたり舐めたり吸ったり他にも沢山したいことが一杯あって困ってるんですけど?」 ガクンッと柊の膝がくず折れる。 慌てて瑠依が彼を支えようと触れるが、大人の男を少女が支えきれるわけも無く、重さに負けて瑠依の身体が傾く。 そのときに柊が首筋まで真っ赤になっているのを見てしまった。 (柊さん、腰砕けですか?) 「…ほんとうに、そう…したい?」 「勿論」 無駄なところで無駄に真剣な顔と無駄に真面目な声を出して瑠依が答える。 両思いだと思っていたものが、実はまだ自分だけの一方的な片思いのままだったのではないかという不安が消えて柊は安堵の息を吐く。 「俺のことを…特別に、想って…くれているんだ…そ、その…な、舐めたりとかしたいと思ってくれてるんだ」 「思ってます!というかしたいです。させてください。柊さん限定でこんなにドキドキして夜も眠れないし会ってない時間はずっとあなたのことで頭が一杯です!もう顔を見たら直ぐに押し倒してまさぐりたい…っ」 ダダ漏れ妄想の内容も一部混ざっていたが、瑠依の正直な気持ちの告白。 「…他に言い方があるでしょうに、本当にこのお馬鹿娘」 「あれぇ美鈴ちゃん!どうしたの?」 盛大な溜息と一緒に二人の方へと美鈴が歩いてくる。 せっかくの瑠依の愛の告白(?)を聞けた時間に邪魔が入り、しかも相手が先ほど道場の入り口で自分を打ちのめすような言葉をさんざん吐いていた 少女だとわかって柊の表情は険しいものへと変わった。 しかし今日一日の出来事で心がすっかりヤサグレ状態の美鈴はいつもなら怖くて近づけない不機嫌な柊の視線に対して負けていない。 じと目で瑠依のほうまで歩いてくると無造作に彼女の前に何かを握りしめた片手を突き出した。 “受け取れ”と顎をしゃくり有無を言わせない命令形の雰囲気に瑠依はおずおずと両手をそろえて美鈴の前に差し出す。 「はいコレ」 チャリンと音を立てて揺れる銀色の小さな物体を瑠依の手の平にちょこんと乗せた。 「第3視聴覚室の鍵。今日は誰も使ってないし使う予定もないから」 (グッジョブッマイフレーーーーンド!) 「もうあと一時間くらいしか使えないから…ほどほどにね」 「美鈴ちゃん愛してるっ」 これがあの何でもやる気なしの親友かと疑うほどに目を輝かせて、やる気満々の姿でいる瑠依を美鈴は一抹の不安を抱えながらも見送ったのだった。 第3視聴覚室は瑠依達の高校の数ある部活動の中でダントツの成績と部員数を誇る弓道部がミーティングの時に使用する為だけにあるような専用室と長年化している。 夕方の室内は薄暗く、周りが見えづらいが瑠依は電気をつけるのも変な気がしたので灯りのスイッチを押さないまま中に入った。 ドアを閉めると鍵を掛けて誰も中に入ってこられない二人だけの空間になり、瑠依は柊の手を引くと室内の少し奥まで歩みを進めてからゆっくりと向かい合う。 「最後までは、柊さんの怪我が治ってからにしたいです」 彼の両手をそっと取り、指先と、綺麗に揃った爪を見つめながら瑠依は静かに告白した。 手首から先は服の袖で隠れていて見えないが、包帯を巻いているその腕は今でも動かすと痛むに違いないから。 顔を上げて柊の表情を確認すると、彼は気の強そうな目をどこか切なげに細め、整った薄い唇は残念そうにきゅっと結ばれていた。 「俺のことを見たら直ぐにでも押し倒したいんでしょう?」 自分で言うのはかなり羞恥心を煽るらしく、彼の声は微かに上ずる。 瑠依はそんな柊の唇にさっきのような軽く触れるだけのキスをした。 「わたしは柊さんと一緒の時はいつでもそう思ってますよ。でもあなたが怪我をしてるのを分かってて、それを押してまで色々しちゃうのは嫌なんです。だけど我慢強くなくて申し訳ないけれど、わたしは何もしないであなたの隣に笑って居られるほど自制心がある訳じゃないからせめて…」 「…こういうことはしたいの」と言って瑠依は柊の首筋にそっと歯を立てて、舌で肌の感触を確かめると強く唇を押し当てて吸い上げる。 柊が息を詰めて身体を竦めたのがわかったが、首筋に赤い痕が残ると瑠依はにっこりと微笑んで彼のほうを仰ぎ見た。 「気持ちいいことだけをしたいです」 薄暗い室内でよく見えない柊の下腹部をそろりと撫でる。 「…っ」 いきなり手を這わされて柊は焦る、瑠依に自分が今どうなっているかを知られたから。 気持ちよくなりたいと思っていたのは何も瑠依だけじゃない。 柊のほうがずっと以前から瑠依のことを見つめていて、思いを寄せていた時間の分だけ性的な欲望を募らせてもいた。 いま彼女の手に触れられている柊の欲望の形は、はっきりと熱を帯び、首をもたげ始めている。 性急な瑠依の求めに、むしろ期待していた。 「俺ばかり…気持ちいいだけじゃ、嫌だ」 自分ばかりが快感に溺れ、正体を無くしてしまう姿を見られるのは苦痛で、恥ずかしくて、何より孤独になる。 「気持ちいいですよ…柊さんが気持ちよくなってくれるとそれだけですごくイイ」 這わせた手を動かすとビクリと柊の体が身じろぐ。 きつく眉を寄せて、荒くなる息を懸命に堪えながら見下ろしてくる柊の視線はどこか納得していない。 「二人一緒によくなるのはまた今度にしましょう、そのときはクタクタになるまで頑張りますから」 早くこの両腕の怪我が治ればいいと柊は切なく思った。瑠依がここまで言ってくれるのにどうして自分はそれに応じる事が出来ないのかと。 ズボンの前が瑠依の手で暴かれて、下着をずらされると柊の熱を帯びたものが外気にさらされた。 これから始める事に瑠依も柊も息を飲む。 二人どちらからともなくキスをして、深く重ね合わせ、舌を絡ませながらお互いの疼きを煽った。 唇の次は頬や額、鼻先や耳へと好きなところへ互いがキスを繰り返し、そのうちに瑠依のほうが徐々に柊の身体の下へ下へと顔を、身体を下ろす。 丁度彼の手首の位置まで来たところで、その手の甲にも口づけた。 「全部見てていいですよ」 あなたの気持ちよくなる顔もずっと見せてもらいますからと瑠依はこんなときに酷く綺麗に笑う。 こんなときなのに、とても愛されているのだと実感する。 躊躇い無く瑠依の唇が柊のモノの先端を含んだ。 その途端に声に出来ないくらいに甘い疼きが腰から生まれ、快楽の波が押し寄せて柊はぎゅっと目を閉じる。 唾液を舌に乗せて、潤わせるように瑠依が先端をゆっくりと舐めてゆき、口の中に包むように咥えて軽く吸うとその度にビクリと身体が震えた。 「…ぁう…っ」 止める事さえも自分の意志では出来なくて漏れた声の、その余りにもはしたない色に柊は思わず目を開ける。 こんな声を出してしまって瑠依は嫌だと感じなかっただろうかと不安になった。 恐る恐る下を向くと、上目遣いでじっとこちらを見ている目とぶつかる。 宣言通り彼女はずっと見ているつもりなのだ、柊が感じる姿を。 ぐんっと下腹部に熱が集まるのがわかった。 瑠依の顔が嬉しそうだったから。 柊が気持ちいいと自分も気持ちいいのだと言った言葉に嘘は無かった。 口の中の柊のモノが質量を増した事に気をよくした瑠依はさっきよりも大胆に音を立てて舐め擦り、先端の割れ目に舌を差し込んでみたり裏筋を舌で辿る。 「ふっ…ぁ、るい…」 柊の甘ったるい声が瑠依の欲望を加速させるのか、彼のモノを根元まで咥え込み、股間の間に顔を埋めた彼女の髪がサラサラとせわしなく揺れていた。 体中が熱く、汗がじんわりと滲んだ。 呼吸は荒く、顔はきっと真っ赤に違いなく、喘ぐ自分の表情を瑠依の目が見ていると思うと更に快感は大きくなり、 同時にあっけないくらい限界が近づいてきて柊は泣きたくなる。 好きな人から与えられる愛撫はこんなにも身体を素直にさせるのかと思い、けれど堪え性の無い人間だと思われて呆れられるのではないかと不安になった。 「ぁは…る、い…るいっ…るいっ…」 好きなのだと、嫌いになってはほしくないと何度も名前を呼ぶ。 それに応える様に瑠依の愛撫は優しくて激しい。 全部が好きなのだと、何一つ嫌いなところなんて無いと、だから早く一番淫らな顔を見せてほしいとせがむ。 軽く歯を立てたり、水音を大きく響かせながら強く吸い上げ、手を添えて上下に扱きあげては柊の限界を促した。 「…あ、…あっあ…」 追い上げられて柊は自分の正体を見失いそうになりながら、喘ぐ。 確かにもう耐えられそうにないけれど、それでも最後の最後まで踏みとどまって瑠依を感じたいと時折歯を食いしばった。 色を増す柊の表情に、つい意地悪をしたくなった瑠依は口に咥えているモノの少し奥にある彼の柔らかい二つのものをやわやわと揉みしだく。 「…うあっ…あっ」 ガクガクと膝が震えて、思わず立っていられなくなるくらいの快感に柊は室内中に響くような高い声を上げた。 一気に限界まで押し上げられる。 柊が声を殺して精を放つ瞬間、瑠依は彼自身を深く口の中に納めてビクビクと震えるそれが最後の一滴を出し切るまで離さなかった。 躊躇無く口の中の柊の精液を飲み込んだ瑠依は、解放感から弛緩する柊の身体を支えるように背中に腕を回すとその頬にキスをする。 小柄な少女の身体を柊の腕が抱き返した。 瑠依が「凄く良かった」と言い、柊の放ったもので濡れていた唇を自分の舌で舐めとると笑いかける。 その仕草に、さっきまで自分がどんな声と顔を相手に曝していたのかを改めて感じた柊は羞恥心から顔を赤く染めた。 「続き、早くしたいなぁ」 愛しくて愛しくて仕方が無いのだというように引き締まった柊の胸に擦り寄りながら瑠依は呟く。 「俺も早く…続きがしたい」 腕の中の少女は自分がどんな姿を、表情をしても変わらずに好きでいてくれたのだということに歓喜して、身体に残る余韻を持て余すようにぎゅうっと抱き締めていた。 早く…早く…この腕の怪我が治ってほしい。 ヒリつく腕の痛みも、瑠依を抱き締める為に起こるのならどこか幸せな気がした。 |